衣料品の工場、生地やボタンなどのリテールとホールセール、その他アパレルの生産に関わる全てのものがこの一角に揃っている、ニューヨーク ファッションの中心。
授業の関係でたまに足を運ぶが、その度に感じるニューヨークの生産現場の圧倒的なエネルギーが印象深い。
事実、多くが海外で生産され、現在ではアメリカ国内で出回っている衣料品の内たったの10%が国産だと言われている。その大きな理由は紛れもなくコスト。具体的には人件費。
人件費の安い国でのアウトソースが加速する中、それに伴う人的または環境に関わる倫理的な問題は尽きない。実はかつて、ニューヨークのガーメント ディストリクトも似た問題を抱えていた。20世紀初頭、安い移民の労働力を過酷な環境で働かせ、あるビルで火事が起きた際に非常口が塞がれ多くの死傷者を出した暗い歴史がある。(詳細)
そこから大きく環境は整えられた今、規模は縮小しているものの、アメリカ しかもこのニューヨークという何をするにも高い都市で続けられているアパレルの製造の現場を見ることができるのはとても貴重だと思う。
ニューヨーク デザイナーの服がミシンによって縫われていく様子。サンプルや生地の山に埋もれる中作られていく高価なドレスやジャケットは、最後の工程であるプレスやスチームを当てられハンガーに掛かるまで、一体何なのかよくわからないくらい、そこに流れるパワーとスピードに紛れている。そう、ここではその作られるものやデザインだけではなく、確かなエネルギーと技術にこそ価値があるのだと感じる。ニューヨークのファッションは商業的で面白みが欠ける一方だとも言われるが、それでもここには確かにここにしかないものがある (と信じたい) 。
いくつか工場を回った後最後に訪れたパターン/マーカー メーキングの工場。その日の営業はとっくに閉めた後私たちを待っていてくれて、夜の8時を過ぎていたにも関わらず、1時間以上かけて丁寧に工程を説明してくれたオーナー。更には具体的なデザイナーのサンプルと共にさまざまなユニークな傾向をおしえてくれた。未来のニューヨーク ファッションの世界を担う (かもしれない) 私たちに、何かを感じてくれたのだろうか。
そこにいた猫。
ここでは書き切れないほど、今回のこのパターン/マーカー メーキングの工場への訪問からは多くのことを学んだ。デザイナーと一緒に動くこういった生産の現場。私はファッション マーケティング専攻なので直接ものを作る部分に大きく関わることは少ないが、ニューヨークで、そしてパーソンズで勉強している上で、こういった部分も見られるのは非常に有意義だ。クレイジーな話も多く、なんて業界を選んでしまったんだ!と思うことも多々あるが、それでも懲りずに好きなものをキャリアにしたいと思った人たちが作り上げる世界は、やはりワクワクする。
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